幻想再帰のアリュージョニスト読む

18禁ゲームとかはてな村が好きな人が「幻想再帰のアリュージョニスト」読んでみる

幻想再帰のアリュージョニスト読む2-8-2 

「それじゃあ、まず最初に言っておくね、セスカ。私は、【公社】をぶっ潰します。結論から言うとね、私はこの第五階層を私とアキラくんの居場所にしようと思ってる。その為に、他の強権を振るっている組織はいなくなってほしいんだ」

このトリシューラのタンカをみて、最近アニメ化された「ログホライズン」を思いだした人多いと思う。

ログ・ホライズン - 013

その性質の良くないギルドは、新人プレイヤーを集めて〈EXPポット〉を巻き上げているそうです。売りさばいて運営資金にしているのでしょう。それ自体が許されないことだとは、僕は思っていません。――『今』は、ですけど。でも、好き嫌いで云えば、好きではありません退場して貰おうと考えています
(中略)
ハーメルン〉なんて最初からもののついでです。そんなのじゃ、全然足りない。まったく届きやしない。そんなのはただの行きがけ駄賃に過ぎません。 この際だからはっきり云います。僕は今のアキバの街の空気が好きじゃないみたいです。せこくて格好悪くてみっともないですだから、アキバの街の掃除をします。〈ハーメルン〉のことはそのついでです。ミノリとトウヤは友人だから助けるだけです。
 僕たちは他にやらなければならないことが沢山あるんです。こんな事で時間をとられている訳にはいかないんですよ

ただし、目的も手段も違っていて、そこが面白いなと思います。


ログホライズンは「技術革新を起こし、その利を持って有力者を巻き込み、法を成立させる」というものです。
もともと倒すべき敵は小物であるし、人同士で戦うことを目的としていないので妥当ですね。

一方、トリシューラのやり口は、敵そのものがインフラを牛耳るほどの大物で、その相手を叩き潰すことを目的としています。
必然的にやり方はゲリラ的になる。どちらというと「攻殻機動隊」での笑い男の戦い方を彷彿とさせます。まぁこっちではスタンドアロンコンプレックスなんて発生しないけどな。

「私は杖の呪術師。大量生産と大量消費、技術の発展と知識の蓄積がその本分。だから、私はこのやり方で人間を『拡張』する」

①まず資金集め(ログホラの場合はさらに協力者集め)をするのは共通。

②敵である「公社」の資金源つぶしとして基軸通貨の価値を暴落させたり
 既存の資源の活用方法を広く伝えて「公社」の存在価値をつぶしていく
 
ハイパーインフレによって消費活動(迷宮探索)を活発化させることで
 公社によるインフラや生活保護に依存している人を減らす?
 その際、インフレだけでなく、情報や制度も提供できればなんとか可能?


デフレは格差を固定していくが、
インフレによって既存格差は多少縮まるというのはアベノミクスでもある程度実感するところかも。
それがハイパーインフレになると、既存社会そのものをぶっ壊せる。そんな感じでしょうか。
思考実験としては面白いけど自分の社会でやられたらたまったもんじゃねえなこれ。


ただまぁ今のありようは、「杖(ニアリイコール技術的な呪術)による人間の拡張を促す存在」を目指すトリシューラからみたらぶっ壊しても構わない醜悪なものに見えるようです。

当初のプランだと、第五階層はもっと勝手に、自律的に発展拡大する予定だったんだよね。掌握権限だって個々人で自由に弄って、すぐに言語魔術師レベルに到達する人が出てくる筈だったんだ。けど放置してたらいつの間にか犯罪組織がのさばり出して、基幹技術を秘匿して独占しちゃったの。序列は固定化されちゃうし【公社】は既得権益を貪るばっかりで技術の研鑽もしないし、もう色々台無しだよある程度の介入をしないと停滞しちゃうってこと。介入しすぎて独裁になるのは自律的な発展を妨げるかなって思って控えてたんだけど、結果的に失敗だったね

これについては、経済学の教科書で最初に習う「市場の失敗」ですね。今の日本みたいにインフラが整っていればともかく、そういうものが整っていない上に迷宮探索・戦争状態という過酷な状況での完全自由市場はまず間違いなく歪むのは当然の帰結です。トリシューラはアホなのか賢いのかわからんね。

市場の失敗 - Wikipedia

市場の失敗は、
・自然独占・外部性・情報の非対称性の3つに大別できる。
市場の失敗の代表的なものとして、次のようなものが挙げられる。
・不完全競争による独占・寡占の存在 ・外部性の存在(正の外部性による過少供給、負の外部性による過大供給)
・情報の非対称性の存在 ・公共財の存在(フリーライダーによる過少供給)
・失業 ・市場の欠落 ・不確実性(リスク回避的な供給者による過少供給) ・費用逓減産業の存在

・世界槍のほかに紀元槍なる言葉が出てきたりと興味深いのですが、今のところ書いてることをそのまま受け取るしかないかな。

元々この【世界槍】っていうのは誰のものでも無いんだよ。古の言語魔術師たちがオリジナルである【紀元槍】のコピーとして生み出して、位相の異なる世界同士を無理やりに繋げるために幾つも地面に突き刺したのが全てのはじまり。所有権が放棄された【世界槍】の中では無秩序なドメインの占有が行われ、絶え間なくコピーアンドペースト、改変、アップデートが繰り返された。空間構造や創造物は複雑化の一途を辿り、無数の小宇宙や文明が勃興しては衰退していった。あとは皆が勝手に住んだり乗り物にしたり武器にしたりして、色々な衝突とか発展とか衰退とかがあって、最終的には地上と地獄の戦争の舞台として使われるようになった。現在の階層掌握者を倒して階層ごとの掌握権限を奪い合うっていうルールは、後からやってきて勝手に審判を名乗ってるヲルヲーラが作ったものなの。

そもそも掌握権限は本来誰のものでもない。言語魔術師たちはこの【世界槍】を作るときに一つの理念を示した。それは『あらゆる呪術はオープンソースであるべき』ということ

「世界や社会のルールの成り立ち」を知らないと文句を言ったり嘆いたりすることはできてもなかなかそれが壊せるものだとか、オルタナティブがあるということを思い付かなかったりしますよね。この発想を手に入れるというのも、歴史を学ぶ一つの重要な意義だと私は思いますが別に話には関係ないね。




・NDK?NDK?

「ああ、そうなんだ。寂しかったの? ふぅん。一人きりで知らない場所に放置されて、半年間ずっと孤独で辛かった? 私やっぱり、そういうところに気が回らないね。そういうクレームは想定してなかったな。でもねアキラくん。別に私、貴方のママじゃないんだよ?私があれこれ手伝って、教えたりするとそういうアキラくんの活躍の過程を邪魔しちゃうかなって思って、介入は控えてたんだ。なんか私、手出しを控えた結果として失敗することが多いね? ごめんねアキラくん、貴方がここまでダメだとは思ってなくて

ありがとうございます!ありがとうございます!




・「ログホライズン」だとおもったら「まおゆう」になってた。これは是非失敗してほしい。

「何でもだよ、アキラくん。ありとあらゆる事を、私はここで可能にしたいの。この場所はね、本当はもっと自由なんだよ」「そうやって私の、私達の神話をここから始めるんだ」ようやく俺は、『トリシューラ』と出会った。俺は見た。その鮮やかな緑の瞳を、ビスクドールのようなかんばせを、深い赤色の髪を、細く長い手足を、その身を包む黒い衣服を、編み上げのブーツを、重心の安定した美しい立ち姿を、微笑みの中に揺るぎない自尊心を秘め隠しているその表情を、機械の身体でありながら人になる為に世界にぶつかっていこうとするその躍動を。

「もっと見ていたい」と、思うより先に口が動いていた。止まらない。「続きが知りたい。その先を見せて欲しい」
「いいよ。まずは三日、私を見ていてよ」

なんという「丘の向こう」ですか。やめてよね。
幸いにしてこの世界は「まおゆう」において魔王がそうしたように簡単に俯瞰できないほど大きい。あくまで第五階層における取り組みとしては成功するかもしれないけれど、それ以上に世界は大きいからいいよね。また「ゆらぎの神話」への挑戦も、トリシューラ個人が制御できるものではないし、トリシューラ自体そのことをちゃんとわきまえてそうなので安心かな。


・ついでにゼロからはじめてんね

「つまり、事実上トリシューラが個人で、ゼロから始めるってことでいいんだな?」
「うん。そう思ってもらって構わない。もちろん、発想を生み出してくれた人たちに敬意は示すけれどね」


・ちなみにこれの台詞って何か元ネタあるんかな?

「私、ファッションリーダーっていうのになりたいの!」

その前にミームがどうこうとごちゃごちゃ言ってたけど、そのあとのこの言葉のおさまり具合すごくて感動した。




今日のはてな村

ちなみに、アザナエル(アザゼル)の特徴は「ウォッチャー」「覗き魔」です。

堕天使としてのアザゼルはもともとは神に命ぜられて地上の人間を監視する「見張りの者たち」(エグレーゴロイ)のひとりであった。アザゼルら見張りの天使の首長たちは、人間を監視する役割であるはずが、人間の娘の美しさに魅惑され、妻に娶るという禁を犯す[4] 。かれらとともに200人ほどの見張りの天使たちが地上に降り、人間の女性と夫婦となった。『第二エノク書』では、この堕天使の一団はスラブ語でグリゴリ(Grigori=見張り)と呼ばれ、ウォッチャーズ (Watchers) と英訳される。

はてなにもウォッチャーズとよばれる集団がたくさんいるそうで。はてな村奇譚によると、ある程度力がある人にしか見えないそうで恐ろしい恐ろしい。


また、アザゼルの逸話については「スケープゴート」の由来になった「アザゼルの山羊」があります。

7番目の月の10日を贖罪の日として祝う時、イスラエルの人々から贖罪のささげものとして2匹の雄山羊を受け取り、これを引いてきてくじを引き、1匹を主のものにし、もう1匹をアザゼルのものにするというものである。ここでアザゼルのものとされた山羊を屠らずに生かしおき、これにて贖いの儀式を行う。こうして民の罪を負わせた山羊を荒れ野のアザゼルのもとへ放逐する。。スケープゴート(贖罪の山羊)という言葉が一般に「身代わりに罪をかぶる者」の意味で用いられるのはこの故事に由来する

はてなではスケープゴート役として「アイドル」なるものが設定されています。はてな村では話題になるネタがないとき、とりあえずそのアイドルを燃やして、村民たちの罪を浄化するという儀式が行われます。はてな村ではアザゼルはヨークシャーテリアの姿をしているといううわさもありますね。 このように、アザゼルは非常にはてな的なるものと親和性が高いため、アザナエルお姉さまがどんな風に活躍してくれるのか、登場が今からとても待ち遠しいですね。


今日のはてな村

「あのね、これはアキラくんにとっての『居場所』を作るプロセスなんだよ」「アキラくんには暴力しかない。半年間、ずっと暴力に依存して生きてきたよね。今更それを変えられる? 無理でしょう? 変化とか成長とか適応とか大嫌いなタイプでしょう?」「うん駄目人間だね。で、そういうアキラくんはこれから先もずっと暴力に縋って生きていくしか無いと思うの。だからいっそ、徹底的に依存すればいい。その具体案が『道場』なんだよ」「といっても、アキラくんっていう個人の強さがブランドの信用度に直結しているからね。これからは名前を売って、ちょっと派手に荒っぽいこともしつつ勝ち続けないと駄目

これを「炎上」に変えると、まとめブログとかゲハブログ、はてなアイドルなどにも当てはまりそうですね。ただ、アリュージョニストでもやはり強さ=ブランドの信用度となっており、単にはてブ数を稼ぐだけでなく、時にまっこうから議論をして能力の証明をしていかなければいけない、という注意書きはあるようです。

最大の変化はね、これからアキラくんが振るう暴力は、すべて明確に利益を指向するようになるということ。生活の為に暴力があるんだよ。そこには方向性が生まれる

「まだ承認欲求で消耗してるの?」という人たちと「明確に利益を志向するようになった炎上プロブロガー&まとめサイト」の対比でしょうか。わかりません><