幻想再帰のアリュージョニスト読む

18禁ゲームとかはてな村が好きな人が「幻想再帰のアリュージョニスト」読んでみる

感想2-10

かなめまどかことアキラさんが、QB&マミィことトリシューラさんにからめ捕られていきそうになってる感じ。マミさんに出会って、もう私トリシューラと契約して魔法少女になっちゃおうかな!って感じになってる。
これトリシューラに死亡フラグ立ってる感じだけど大丈夫かな。せめて失敗くらいで済むといいんだけど。



あ、もうだいたいおわかりいただけていると思いますけど、ストーリーの感想は冒頭に書いてる数行だけで、あとは気になったところについて全く関係ないことをしゃべってるだけです。



・人種問題とかセーフティネットの描写はアメリカっぽいね。まだ日本はここまでじゃないけど将来こうなりそうな感じ。



・アキラくんを追い詰めてる思考にまったく共感できないわけだけれど、それは「なぜ彼がこういう思考に陥ってるのか」がまだ断片的にしか描かれてないからなんだろうか。

平等の為に不幸な人に合わせてたら、最終的な結論は全人類皆殺しだよ。まあそれはそれで邪悪な魔女っぽいけどさ、どうせならもっと明るくいこうよ。アキラくんが義肢を捨てるんじゃなくて、みんなが義肢を手に入れられるようになればいいと思わない?

ところが、不幸な人に合わせるどころか不幸な人(供犠)をあえて作りだすのが社会。 実際には平等のために「皆の輪から特定な人間を切りだして、特別不幸な人を作る」ことで共同体を維持してきたところは多いんだよな。あげく「うかつに皆と違うことしたら自分がその対象になる」というプレッシャーまでかけてくるわけだから恐ろしい。 いじめはこの未成熟なパターンにすぎないと思うと、人間社会は業が深い。
第一トリシューラがそういう提案をできるのは、「イノベーション」という希望が先に用意されてるから。これがない時こそ恐ろしい。こういう新技術や企業的成長なんかを否定した社会だと、そもそもそういう現状が変化しブレークスルーされるという希望を持ちにくい。だからこそちょっとでもババ抜きから逃げるように、あるいは椅子取り競争で勝利するためにコミュ力重視とかになるわけじゃん?コミュ力が過剰に強調される社会であること自体、低成長あるいは斜陽、閉塞した社会って感じがするのだけどこれは完全に非コミュな私の逆恨み妄想ですねすみません。





・それはともかく義肢というこの作品の主人公を象徴するアイテムを動かす仕組みが、転生前のものからこの世界の呪術にかわっていくと、いよいよ当初サイバーパンクとして始まった物語が、オカルトパンクに変っていく感じがしていいですね。

第五階層限定の物体創造能力は義肢の素材にできる。シューラがアキラくんに用意できる義肢は、いわばサイバネティクスとオカルティズムのハイブリッド。

・「マグダラで眠れ」で読んだ程度の知識だけど、もともと宗教騎士団って、宗教的理由から戦争へ赴く兵士たちに宿舎や医療を提供していた人たちが、戦死した兵士たちの遺品などを死後託されることで財産を拡大していくみたいなものもあるみたいね。ゴールドラッシュにおいて一番儲けたのはジーパン提供したリーバイスだとか言う話とも通じるところあると思う。 そもそもキリスト教がヨーロッパにおいて圧倒的に強いのもいろんなインフラやコミュニティの代替を果たしているからだという話も聞いたことがある。 慈善や福祉と権力の関係は結構大事なのかもしれない。日本だと会社が圧倒的に強く特別な宗教を持たないってのはそういう話だと思うしね。

松明の騎士団には病院修道会としての側面もあるからね。幾つもの宗教組織が集合して出来上がった連合体だから、探索を専門とする部門だけじゃなくて、慈善活動やセーフティネットとしての役割を果たそうとする部門もある

松明の騎士団は宗教組織であり、神の名の下に人々に慈悲を与え、救おうとする。ただし救いを与える対象は選別される。救われる資格。選ばれる価値。その高低によって排除と包摂の境界線が引かれる。

・ちょっと違うかもしれないけどインディアンみたいな話かと思った。「本当は豊かな暮らしをしていた人」が、白人の価値観を前提とした社会に組み入れられると、社会的に洗練されていない、ただの資産を持たない浮浪者のように扱われるという感じに。

多様な種族がいるからこそかえってその間での差別が強まるのだろうか。とりわけ、植物系種族の扱いの酷さが目に余った。 ただその場所にいるというだけで理不尽な暴力を受ける、舌打ちをされ、唾を吐かれるという光景が散見された。

 彼らにとって建造物を創造する能力などは無用の長物に見えたことだろう。その価値観に従って、この階層に来てすぐに売り払ってしまうものが続出したらしい。しかしそれは同時に、この社会から疎外されることをも意味した。住居や創造能力を持たない彼らは下層階級とみなされ彼らはどうしようもなく行き詰まっていた。

・ここよくわかんない。

トリシューラはなんか、ポストヒューマンっていうよりプレヒューマンって感じだよな


・国際送金のインフラで世界的に有名な組織で日本人が創始者のものがあったと思うけど、どういう名前だったか忘れた。ウェスタンユニオン国際送金を悪用した詐欺は結構怖い。

国際送金ルート潰し。出稼ぎ探索者たちの国際送金は基本的に全て【公社】が取り仕切ってる非正規のルートを使ってるの。非正規のルートで送金すると獲得額のロスが少ないから皆そっちを使いたがる。第五階層には公的な送金システムが無いからね。規制のための法律が無いから非正規のルートが成立しやすい。
だから私がもっと簡単で効率のいいシステムを構築するわけ。非正規の送金ルートは犯罪組織の資金洗浄にも使われてるから、【公社】の資産の動きを堰き止める役にも立つしね


・コルセスカさんがカフカの虫みたいになっとる…。ドクターペッパーはよ。

プライベートでもしっかりしてそうなイメージが完全に崩壊した。部屋の中央で、蓑虫のような毛布の塊がもぞもぞと蠢いた。気持ち悪い。
え、これコルセスカなの? この残念な生き物が?

「ちょっと休んだだけであっというまにいろんな事が私を置き去りにしていく。私以外の時間が止まってしまえば、こんなに苦しまなくて済むのに」何か今コルセスカの能力の核心っぽいこと言っていなかったか? 気のせい? ひょっとして物体を凍らせたり超高速移動したりといった超呪術はそんなしょうもない動機で生み出されてたの?


魔法科高校の劣等生の魔法のシステムとか、禁書目録の学園都市超能力者も「自分たちが」高度な演算処理を行って世界に働きかけている、という描写はあるけれど、その人間からの働きかけの対象である世界側もまた高度な演算処理を行っているはずだという点をちゃんと説明してくれてるのはいいですね。SAOのアリシゼーション編もそういうインフラ側の仕組みがちゃんとあって、それを把握し理解したやつがラスボスになってるの、すごく面白いと思ってる。(アクセルワールドは読んでないけどそのあたりどうなってんのかな?)

この階層には、入出の記録、滞在時間の計測、さらに創造能力を貸与する対象の位置情報の捕捉、その他諸々の機能がデフォルトで備わっている.つまり、常時全ての住人の行動をモニターしている。つまりそれは、能力発動の度に第五階層がその意思をくみ取って階層自体の形を変えているということでもある。この世界は住人をずっと見続けていて、その願いに可能な限り応えるようになっている。階層そのものが住人の思考と動作という膨大な情報を常時取得し続けている

検索だけでもグーグルさんの膨大なサーバーがあるわけだから、さらに常時モニタリング&処理まで行うとか半端ないな。グーグルが全部やってくれる世界か。



類感呪術。えーとね。最初に思い出したのが「エルフェンリート」のディクロニウスが使ってた腕ね。まぁ実際その気になれば同じことができちゃうと思うんだけど大丈夫?じっさいの腕の場合は実物があるから当然動きが制約されるじゃん。こっちも人形が再現できる範囲までにちゃんと能力制限されるんだろか。

「手足を失った人たちも、人形の世界では手足を兼ね備えている。この事を利用して、類感呪術で義肢を代用するシステムを運用しようと思ってるの」
「ごめん、何言ってるのかわからん」
「四肢を失った方の個人情報を登録し、幻肢によってここにある人形を遠隔操作させる。動いた人形はこの場所でミニチュアの第五階層に影響を及ぼし、それが現実の第五階層にも反映される。模型と現実が連動することを利用して、呪的念動力によって義肢の代替にする」
「それだけだと物が勝手に動いてるようにも見えて見た目がいまいちだから、立体映像テクスチャでも貼り付けて、仮想の四肢を付けてもらおうと思ってる」

ハガレンの義肢くらいが限界で、寄生獣のミギーとかバイオハザードの寄生体みたいなのはちょっと・・・って思うもんね。でも、ハガレンのやつも激痛が走るし相当訓練が必要なはずなんだけどな。というか今から思い返してみてもハガレンって呪術的な力と鉄の象徴をいきなりセットで出してきてすごかったなー。

そもそも、この世界の人ってアキラくんやセスカとかと違って侵襲型の機器には抵抗感が強いんだよね。寄生異獣だってかなり反発があったし。この世界の人にとっては、どちらかといえば形のない力を利用する方がしっくり来るんだよね。

・ヒエロス・ガモスをこんなに早い段階で。だいたいこれやるのって物語の最後だろ!

呪術(アナロギア)はほとんど同じ仕組みってことだよ。『似ているものは連動する』という規則に従ってあらゆる呪的なエネルギーは働くの。――話を戻すけど、私達の場合は召喚者である私が悪魔であるアキラくんと契約するという形に当て嵌める。超越的な存在との象徴的婚姻によって、呪的に交信し、お互いがお互いの属性を帯びる。こうして深い繋がりを獲得する。壮大な儀式呪術を執り行って、可能な限り呪力を注ぎ込んだ呪具(アーティファクト)にする



・私、こういう子、好きで好きで大好きなんだよな。

人を呼び集めて何をするのかと思えば技術自慢だ。彼女の承認欲求が人一倍なのは間違い無い。いや、この状況では自慢も重要な行動だ。何故なら、彼女は俺に対して己の有用性を証明することが目的の一つだからである。それをコルセスカの目の前で行うのは、己の優位をはっきりと示すためだろう。
「ねーえーほーめーてーよー」

・アキラさん、相変わらず。そしてそれに対してたくみに説得を繰り広げていくトリシューラ。なんというかまどか&QBさんですよねこれ。ところが、まどかと違ってそれほどポテンシャルがあるわけでもないように見えるので困る。コルセスカはほんとにはっきりとアキラを必要とする理由があって、アキラもそれに応じやすいから、多分コルセスカから先にアプローチしてったらトリシューラについて検討せずして応じてた可能性があるんだよね。 一方で、アキラくんは本当恵まれて何か他人からしてもらうってのに罪悪感を抱いちゃうからなー。

生成した板材を組み合わせて作った椅子に腰掛けながら、俺はトリシューラの作業をぼんやりと眺めていた。他にやることがないのである。 至れり尽くせり。しかし、心の何処かで未だ踏ん切りが付いていない部分がある。住居も雇用先もおまけに腕まで用意してくれて、これ以上無い待遇ではないか。なんの不満がある?
どうしてか気が重い――いや、軽いのか。まるで今この肌を覆うぬるい空気のように。足場がふわふわとして定まらない、自分が何処にいるのかもわからないような感覚。

トリシューラは、トリシューラの合理性にしたがってアキラを説得している。アキラも表面的には経済的合理性というかフェアネスをすごい気にする。だから相性がいいように思う。トリシューラは表面的にアキラの思考がみえるからなおさらそうするんだろうな。
しかし、もう一方でアキラは「殺人鬼」を志願するなど、「この俺が理不尽そのものになることだ」とか言い出しかねないくらいこわれたところがあって、そこにはあんまりアプローチできてない感じがするのでこまった。